聖人は崇高な心などという特別なものは持たない。人々の心情をよく汲み取る。
善人にも善くない者にも、相応の「善良さ」を認める。
本当の善とは何かを知るからである。
信用できる者を信用し、そうでない者でも信じられる所は信用する。
本当の信用とは何かを知るからである。
聖人がもし天下に存在するのなら、それとなく人々の中に溶け込んでしまう。
人々は皆聖人に心を注ぎ、聖人は人々を赤子のように喜ばせる。
(wonderer訳)
解説
ここでは老子が聖人のあり方を描き、
聖人がただ一人清く、孤高を保つものではないことを言っているのだと思います。
また、人を善人と悪人に分けて、不当に差別したりしないということだと思います。
ここでもメインテーマは徳や正義による苦しみでしょう。
当時の権力者が自分を正義として、法の過剰な適用や戦争を行っていたのでしょう。
そういうものに対して、老子は聖人とはどういうものかを描き、権力者を批判しているのだと思います。
もちろん、自分が正義と思い込むのは権力者だけではなく、誰もがしていることですが・・・。