第50章

日常から非常へと変化したとする。

生き残る質の者が三分の一、

死にゆく質の者が三分の一、

生きようともがいて死ぬべき状態に陥る者が三分の一。

何故か。

生きようと不用意にもがくからである。

善く生きながらえる者は、山に入っても犀や虎を避けず、

軍隊に入っても武具を身につけない。

犀は角を突く事がなく、

虎は爪を立てる事がなく、

敵兵は切りかからない。

何故か。

死ぬべき状態に陥らないからである。

(wonderer訳)

解説

生きるためにはどうしたら良いか、どうしたら生き残れるのか。

生きようと不用意にもがくとは、ここでは抵抗する事を指すと思います。

具体的には、相手に敵意を見せたりするな、という事です。

例えば、熊にあったら威嚇したりせず、ゆっくり後退するといいと言われます。うっかり戦う姿勢を示すと、攻撃されるからです。

また、古代中国では矛を逆さまにして戦ったという記録があります。敵に対して戦意がない事を示すためとも考えられます。

戦意がなければ、敵といえども殺したりしないでしょう。

何かに固執することが、かえってだめにしてしまう。

この章で主張されているものは、そういう思想だと思います。

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