日常から非常へと変化したとする。
生き残る質の者が三分の一、
死にゆく質の者が三分の一、
生きようともがいて死ぬべき状態に陥る者が三分の一。
何故か。
生きようと不用意にもがくからである。
善く生きながらえる者は、山に入っても犀や虎を避けず、
軍隊に入っても武具を身につけない。
犀は角を突く事がなく、
虎は爪を立てる事がなく、
敵兵は切りかからない。
何故か。
死ぬべき状態に陥らないからである。
(wonderer訳)
解説
生きるためにはどうしたら良いか、どうしたら生き残れるのか。
生きようと不用意にもがくとは、ここでは抵抗する事を指すと思います。
具体的には、相手に敵意を見せたりするな、という事です。
例えば、熊にあったら威嚇したりせず、ゆっくり後退するといいと言われます。うっかり戦う姿勢を示すと、攻撃されるからです。
また、古代中国では矛を逆さまにして戦ったという記録があります。敵に対して戦意がない事を示すためとも考えられます。
戦意がなければ、敵といえども殺したりしないでしょう。
何かに固執することが、かえってだめにしてしまう。
この章で主張されているものは、そういう思想だと思います。