老子

    帛書老子
  1. 第38~39章
    1. 第38章
    2. 第39章
  2. 第40~49章
    1. 第40章
    2. 第41章
    3. 第42章
    4. 第43章
    5. 第44章
    6. 第45章
    7. 第46章
    8. 第47章
    9. 以下準備中
  3. 第50~59章
    1. 準備中

第43章

天下の至柔である水は、
天下の至堅である岩をも押し流す
水は隙のない所へ沁みこんでゆく
私はここから無為が有益と悟った
不言の教え、無為の益は
天下でもこれに勝るものはほとんどない
(wonderer訳)

水は老子の中でしばしば理想的なようすを表すものとして出てきます。雨などで増水すると、水が大きな岩を転がすということが起こります。また、水は隙間のないようなところにも浸み込んでいきます。

柔軟で受動的に見える水が、実は力強くものを動かす力のあると考え、何の価値もないような柔軟さこそが有益であると言いたいからです。決して弱い者が勝つ、という意味ではありません。

そして、正義や徳を主張して政治を推し進め戦争を行うよりも、そのようなわざとらしいことをするのではなく、自然な政治を行えばよいと言いたいのです。無為とは何もしないということではなく、わざとらしい人為をなくすという意味だと考えます。

不言の教えとは、言うべきことを言葉だけで伝えればいいというものではなく、相手に意味を悟らせることが重要であるということでしょう。百聞は一見に如かずという言葉があるように、物事を感覚的に理解させる必要があるのです。

老子の生きていた当時、国は政令や法律を作り違反者には容赦なく罰する、ということをしていた時代です。老子は、そういった政治を否定しているのだと思います。

無為の益とは、それ以外にも正義と称して戦争を行ったりすることを否定し、人々が望む政治を行うべきだということでしょう。

当時は戦争が頻発していた時代でした。法律による罰も多かったようです。そういったものによって人々が苦しめられていると考え、強引な正義よりも民意に従った柔軟で自然な政治を主張しているのです。

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